佐保川
(鴬の滝と春日山原始林)
鴬の滝 2002.12.11 春日山原始林 2002.12.11
春日奥山ドライブウエーから奥に入ったところに鴬の滝がある。落差10mほどで岩盤を滑るように流れている。
ユネスコ世界文化遺産にも指定されている春日山原始林には、市民団体の調査によると、300haに1425本の巨木が確認された。あらためて春日大社の神域として保全されてきたことがわかった。
(ホタルの棲む川と水辺の学校)
ホタルの川 2000.5.9 水辺の学校 2000.5.9
6月になると、東大寺大仏殿裏の林に「大仏蛍」が飛び交う。これは僧侶や住民による保全の賜物だ。
佐保川でもホタルの棲める川づくりが進められている。少し下流には、旧建設省の推進で建設された「水辺の楽校」がある。河川敷を教室にして、川を学ぶ学校である。
(正暦寺の酒造り)
菩提仙川 1999.11
佐保川に合流する菩提仙川の上流にある正暦寺は「日本酒の発祥の地」とされている。鎌倉時代、僧によって「僧坊酒」が造られていたのがその由縁だ。そのとき利用されていたのが菩提仙川だ。
平成10年、かつて酒造法に基づいた菩提もと造りが始まった。それと近代醸造技術を融合させた酒造りが奈良盆地の醸造メーカによって行われている。
(大和郡山の金魚)
金魚すくい大会 1998.8.23 養殖池 1998.8.23
毎年8月全国金魚すくい大会が開催されることで大和郡山市は知られている。江戸時代、この地に来た藩主によって金魚の養殖が始められた。都市化に伴う水質の悪化で減少しているものの、区切られたため池には浄化装置を備えて、多様な品種の金魚が育てられている。
(稗田の環濠集落)
環濠集落2000.5.24
佐保川沿いの大和郡山市稗田に周囲2414.5m、最大幅14mある環濠がある。戦国時代には集落の防備と農業用水や防火用水に利用されたそうだ。
奈良盆地には竹ノ内(天理市)保津(田原本町)などの環濠集落が残っているものの、多くはなくなってしまった。最近、地域の景観づくりに見直されている。稗田の環濠も、大和川総合治水対策の一貫として「特定保水池整備事業」で整備された。
集落内の稗田阿礼を祀る売太(めた)神社で毎年8月16日に阿礼祭が行われている。記憶力に優れた稗田阿礼が読誦したものを太安万侶が筆録して完成したのが『古事記』だ。そのことから「お話の神様」として稗田阿礼を称えようと昭和5年に始まった。
神事は10時半に始まった。拝殿内で装束を着飾った4人の女の子が「稗田の舞」を奉納した。さらに周辺の町から集まった3歳から小学生6年生までの菅笠に着物姿の30人ほどの女の子が、拝殿前で輪になって「阿礼さま音頭」を踊った。これは副祭神として福の神・芸能の神の始祖神として信仰される天鈿女命が祀られていることにちなんでいるのだろう。
(秋篠寺と大池)
清浄香水 2002.11.11 大池から見た薬師寺 2002.11.11
奈良時代末期に創建されたとされる秋篠寺境内に「香水閣」といわれる屋形内に閼伽井がある。味は露のごとく甘いという。その水は明治4年まで献納の儀式が行われていた。毎年6月6日の「大元帥明王像特別開扉」に合わせて一般公開されている。約1m四方の石垣の井筒で水深1mほどの閼伽井はまろやかな味だった。
秋篠川から高台に上ったところに大池がある。ここから若草山を背景に薬師寺の塔が望める。観光写真にもしばしば利用される、守りたい景観の一つだ。