寺川

(鏡作神社の御田植祭)

寺川沿いにある鏡作神社は鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりにいますあまてるみたまじんじゃ)と呼ばれ、「鏡の神様」が祀られている。祟神天皇の6年、鏡を鋳造したところと伝えられている。古代から江戸時代まで、中国伝来の鏡を作っていた鏡作部(かがみつくりべ)がこのあたりに住んでいたそうだ。今でも境内には鏡やガラスの製造会社が奉納した石柱が多い。

その神社で毎年2月御田植祭が開催される。本殿前の田に見立てた6m四方の「神田」は本格的な畝まである。

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お田植舞                牛使いの神事    2004.2.22

午後一時から始まった。本殿前で10人ほどの「田女」が「お田植舞」「豊年舞」が行われた。宮司の話では、最近は若い女性の参加が途絶えてしまったそうで、後継者の心配をされていた。

続いて「田男」がクワ、スキ、あぜこね(土寄せと土固め)、土ならし、もみ撒きと一連の田植えの所作を代わる代わる行った。「牛使いの神事」では、牛が暴れたり、駄々をこねたりとユーモラスだった。牛が暴れるほど今年は豊作になるそうだ。

松の苗が植えられ、「御供(ごく)まき」で一連の神事が終わった。

 

(今里・鍵の蛇綱祭り)

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今里の蛇巻き      2002.6.2       鍵の蛇巻き 2002.6.2

田原本町を流れる寺川沿いに今里と鍵という地区がある。毎年六月第一日曜日、昭和五八年には民俗無形文化財に指定された「蛇巻き」と呼ばれる祭が行われる。今里の蛇巻は祭典後、杵築神社境内の木に頭を上に巻きつける「昇り龍」に対して、鍵の蛇巻は頭を下に据え置いた「降り龍」の違いはあるものの、どちらも豊作祈願と男の節句行事を兼ねた祭である。

八坂神社近くには弥生時代の遺物が発見された唐古遺跡がある。また杵築神社近くには、かつて栄えた大和川の舟運の出発地であった今里の浜がある。水量が乏しい上に堰き止められ断流しており、昔日の面影はない。

 

(高田の亥の子暴れ祭り)

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仮屋の暴れ  2007.12.2

桜井駅から南へ30分ほど歩いたところにある高田は寺川の左岸の高台に位置する集落だ。ここで毎年12月の第1日曜日に「亥の子暴れ祭り」といわれる一風変わった祭りが行われる。2007年は地元の男子6人が参加した。

祭りは3回に分けて行われる。午後2時からの「仮家の暴れ」では、竹で組まれた「仮屋」に吊るされた御ひねりやミニチュアの農耕具、山道具や家庭用具を取って「仮屋」が倒し壊された。その時間わずか5分ほどだが激しく暴れる。3時からの「御膳の暴れ」では、三脚に円錐形をした巨大な赤飯と、その横には味噌汁などを据えた御膳があって、御椀や御膳が粉々に砕かれた。そして6時からは「夜の暴れ」だ。農耕儀礼や集落の子供たちの健やかな成長が祈願されており、暴れるほど良いそうだ。

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