竜田川
(平群町・椣原の勧請掛神事)
勧請縄 2002.1.3
近鉄元山上口駅を少し過ぎると、車窓から竜田川に架かる鉄橋と並行して勧請縄が掛けられているのが見える。毎年1月3日に新たに勧請縄が取り換えられる行事が営まれる。金勝寺の寺伝には、行基が746年の創建時に守護神として祀った竜神が竜田川の竜穴に住んでいたとの伝承があり、そのことから始まったという。
雄綱はおよそ30m、雌綱はおよそ10mだ。雄綱は重さにしておよそ150kgもあるそうだ。
完成した綱を本殿前で雌綱と雄綱を絡ませながら、代表者の全身が隠れるまで蛇のトグロのように巻きつけていく。そして巻いた綱をゴロンと倒すと、底から人が出てきた。まるで母胎から子供が生まれる瞬間のようだ。この神事には五穀豊穣と子孫繁栄の願いが込められている。その後、参加者が次々と残った稲わらの上に寝転んで、巻いた綱を乗せて押し付けあう。今年の厄除けになるそうだ。
竜田川に雄綱を掛けていく。真中には稲わらで造ったおよそ30cmの男性器に見立てたものを付ける。その両側に竜の爪に見立てた木で造った足を二本川面へ垂らす。これで村の出入り口に結界を造り、悪霊の侵入を防げるという。
(千光寺の滝祭)
2005.8.7
鳴川峠に近い平群町鳴川に役行者を開祖とする千光寺で毎夏、滝祭が行われる。
檪原川(鳴川川)に鎮座する磨崖仏の「清滝石仏」の傍らに落差10m足らずの清滝(行者の滝)がある。水量は天候の影響が大きいようだ。
この日は前日の雨で勢いよく流れ落ちていた。早朝から行者がその滝に打たれて清めていた。その後、集落内を練り歩いて清滝を供養した後、境内で護摩供養された。煙が立ち込めた周辺の山は行場が多い。境内には「行者御加持水」の石碑が立ち、崖下の窪みに水が滴り落ちるようになっている。かつては行者の水場になったのかもしれない。